新卒海外就職のリスクとは一体?
「マコトさんの記事読んで海外きたものの、全然ダメじゃないですか!」
と罵声を浴びる前に、
「いやいや、リスクについても考えてもらう記事ありますがご覧いただきましたか?」
と言い返せるように(半分冗談ですが)、
新卒海外就職のリスクについても共有して見たいと思います。
自分で学ぶ勇気はあるか?実際、研修なんてほとんどゼロ
海外の企業は人手が足りていないのが通常であり、
基本的に採用された人は「即戦力」として働くことが求められています。
新卒の場合、いくら優秀であったとしても、
日本の社会人初年度の本当にはじめで行うビジネスマナー研修などを
受けられることもなく、自ら学んでいくしかありません。
所謂、OJTといえば聞こえは良いかもしれませんが、
自分で見聞きし、咀嚼し、自分の能力へと化していくことになります。
生まれてから大学卒業までは基本的にサービス受給者として生きているため、
急に逆の立場になると頭で理解し、体に落とし込むのには
ある一定の期間が必要になるかと思います。
もしはじめの大事な時期にマナーや作法についてインプットできなければ、
それ程度の人間として扱われることばかり。
私自身もビジネスマナーや敬語が苦手で、
お客さんに不快な思いをさせてしまったことはあります。
これは日本人社会のみならず、最近発覚したことですが、
ベトナム社会の一部でも丁重な対応をしなければ痛い目にあいます。
ユルさに慣れて、日本に戻れなくなる?
上記の研修がない、というところにも重複する部分があります。
私の場合、ベトナムに就職したため、欧米の事情などはわかりかねますが、
東南アジアで新卒で働く場合、良くも悪くも緩さに慣れてしまいます。
良い意味では、日本ほど時間に追わることは少なくなりますし、
悪い意味では、すっごい適当な人間にもなり得ます(適当は若者言葉の意味)。
ベトナムで働く日本人は2パターンに分けることができ、
①バリバリなんでも吸収し、ゆくゆくは起業も視野に入れているガツガツ系
②ゆるーくふわっと生きるユルフワな人生もいいんじゃない?系
②の方が圧倒的に多く、その方々は日本に戻れない、
いやむしろ、「戻りたくない」とすら仰います。
気持ちは理解できますが、心や生き方まで緩くなってしまうと、
日本人が海外で働く意味ってなんだろうなって考えてしまいます。
少なくとも、日本語を話せる現地人よりもバリューを出せない時点で敗北。
①の方は途中で擦り切れて②に流れてしまう可能性を孕んではいますが、
そこを乗り越えられた人は確実に他の人と比べて優秀な人材になると思います。
結局は気の持ちようですが、日本に帰れなくなるリスクはあり、
見方を変えれば現代の浦島太郎にもなりえます。
とはいえ、竜宮城なるものがどこにあるのか知りたいですが笑
日本と比較した場合給与が下がる
日本と同じ給与を貰いながら、海外で働けるのは一番幸福な条件でしょう。
しかし、世の中そんなに美味しいとこ取りはできません。
この待遇を得られるのは一般的に、「駐在員」と呼ばれる方々。
彼らは日本採用として、海外勤務でありながらも、あくまで、
日本側で採用された人材として認識されています。
その一方、私のような若者は「現地採用」と呼ばれ、
現地の基準に合わせる形で給与や待遇を決定されます。
日本では働く上では支払うべき厚生年金保険は抜かれることになり、
医療保険、失業保険、そして社会保険はベトナムの基準に合わせます(個人の負担は10.5%)。
理論の話だけでは理解しにくいので、サンプルをいくつか出してみましょう。
⑴27歳女性物流企業:2350USD(Gross)/月
⑵22歳男性人材紹介:1400USD(Gross)/月
⑶26歳女性メーカー営業:2200USD(Gross)/月
⑷55歳男性メーカー工場長:3500USD(Gross)/月
⑸23歳女性旅行代理店:1200USD(Gross)/月
⑹26歳女性広告代理店:1800USD(Gross)/月
⑺30歳男性公認会計士:3000USD(Gross)/月
⑻25歳男性旅行代理店:1400USD(Gross)/月
⑼40歳男性メーカー開発:2200USD(Gross)/月
挙げたらキリがないのでこのあたりでストップしておきますが、
日本の新卒の方が給与が高いケースがほぼ100%です。
⑵や⑸、⑻は新卒入社するときの給与になる可能性があります。
日本で頑張ってアルバイトしても稼げる金額でしょう。
私が卒業前に働いていた会社は18万円くらい頂いておりましたので。笑
またベトナムの場合は、日本人に対して残業代を支給していないため、
日本の働き方を押し付けられ、毎日遅くまで働いたら、働いた分だけ損をします。
給与レンジが大凡どの企業でも決まっているので、
日本並みの給与を求めることは諦めた方が良いですし、
求める場合、他の国をお選びになるのが正解かもしれません。
視点を切り替えて、中途採用のケースを考えてみます。
例えば日本で年収500万円の人の場合、
20代後半のイメージとなりますが、
その方が仮に上記でいう⑶や⑹に入社すれば、
年収は単純計算で半額くらいになります。
物価や就労時間、ストレスフリーなことを考えると悩むかもしれませんが、
基本的に給与と選ぶ環境は”トレードオフ”です。
一番悩むポイントかもしれないので、よく考えてください。
そこまで給与を下げても行きたい国なのか、
そこにどれほどチャンスがあるのだろうか、など。
じゃないと、ふと冷静になった時に給与の低さに愕然し、
海外勤務に対するモチベーションの低下につながります。
家族や知人に会う事が難しい。それが嫌ならもはやリスク以外の何物でもない
日本にいる時よりも圧倒的に、友達や家族に会える回数が減少します。
親元を離れた時点で日本で遠くに住むことと
海外に住むことに大差がないと個人的に思いますが、
日本にいる時以上に会うことが難しくなります。
これぞ島国の運命。
新卒の始めの時期、辛いこともあるかもしれませんが、
その時にすぐに駆けつけてくれる人はあまりいません。
自分で耐え凌ぐしかないわけです(とはいえ、辛いと思ったことはほとんどありません)。
リスクとは言えないかもしれませんが、
家族や友達に会うことに重きを置いている人にとっては
海外就職マイナスなポイントになるかもしれませんね。
いろんな観点で新卒海外就職のリスクについて共有致しました。
再度お伝えすると、世の中、どの選択をするときにも発生するのがトレードオフ。
何かを得るためには何かを失わなければならない原理原則を理解し、
自分のより良いキャリア選択ができれば良いですね。
リスクをリスクと思わない人も今一度考えてみてください。
No Pain, No Gain!
Have a nice weekend!!