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サングラス越しに世界を見た
常に空がオレンジ色に染まる
いつからかそれがデフォルトとなる
実際見える世界と異なるはずが、
却ってそれを本物の世界と感じる
虚構の世界であることをいつのまにか忘れてしまう
腕時計を見ると18時45分。
1月下旬になると、既に夕日は沈み、
本当の空は赤と青が入り混じった、
実に幻想的な紫の世界を創り出す
サングラスを外すと、そこには空一面の星が輝いている
これは虚構の世界ではなく、まさしく現実世界
しかし現代においてはこの美しき星空や幻想的な世界は
虚構の世界によって忘却の彼方へと流される
いつしか虚構と現実の区別がつかなくなる人々が溢れかえる
悲しいかな、これが現実だ
科学技術の進歩によって我々は仮想現実をもとに
知識を得て、経験を積んでいくことができるようになる
いや、むしろもうその世界には到達している
民衆が知らないだけで世界は勝手に進んでいる
サングラス越しの世界は美しくなんかない
虚構の世界によって歪められた景色にしか過ぎない
現実をなぜ直視しない?虚構の方が楽?
純粋そのものだった昔の人々の世界がちょっぴり羨ましく思える
世界の発展とともに不可逆性が働く虚構の世界