未知の世界に憧れ、衝動的に海外に飛び出してしまったが、タイトルに惹かれてつい読み切ってしまった本、それは、「海外に飛び出す雨に知っておきたかったこと」だ。
時間軸上、「知っておけばよかったこと」になるのではないか?と思われるだろうが、もし次に海外に出ることがあれば参考になるかもしれないと感じたのと、自分の過去の体験との比較及び将来のための情報収集を目的として読むことにした。
(なんか堅苦しい人間に見えるけど、好奇心旺盛と思っていただけると助かる笑)
筆者の小林さんは大阪生まれで、新卒で野村総研に入り、26歳まで海外に住んだことがなかったが、今ではシンガポールで起業しており、私の敬愛する大前研一大先生のBBT(ビジネスブレークスルー大学)大学で講師を勤めている。
この本を読んで学んだことがいくつかあるので、下記にてお伝えしていこう。
1 ライバルは日本国内ではなく、海外の人材
この本に限らず、海外で働く人から話を聞いて感じるのは、敵は日本人じゃなく、海外の人である。
特にシンガポールや中国の人たちは過酷な受験戦争の上、大学ではひたすら勉学に励む。日本人がテニスサークルでゆるふわな生活をしている間、彼らは勉強に投資することなる。仮に大学生活を4年のみ(私は5年だった)とすれば、4年間に積み重ねた努力の量と、その上に身につけたスキルは雲泥の差であることはわかるだろうか?
私は中国留学時代に、中国人大学生がずっと同じ教室で自習している姿を毎日目にしていた。トイレ休憩の間も英語の本を持って口でブツブツ英語を発音しているのだ。もちろん息抜きにチャット(当時はQQ)で遊んでいる人もいたが、日本人が中国人に負けるのは仕方ないと感じた。
日本語が流暢な中国人にあなたは勝てる自信がありますか?
また、中国人もシンガポール人も大学を卒業してから、自分の興味が赴くままに企業に応募してくる。日本の新卒一括採用なんて概念は一切存在しないし、むしろ日本の守られた方法が狂っている。スキルのない学生が偉そうに大企業しか受けない、なんて言ってるのをみると今では視野が狭いとしか思えない。
海外の人たちは在学時にインターンシップを積み重ね、奴隷扱いから正社員を追い越そうと必死になり、それらをもとに面接時にアピールし、おまけに給与交渉を新卒の時点で展開する。
私はベトナムで人材紹介をしていたが、ベトナム人の新卒の方達は、給与交渉をしてくるし、妥協するくらいならその会社に入らないと強気な場面も多々あった。それはグローバルスタンダードの観点からすると正常。自分の価値(給与)が最初から決められている日本の採用はおかしいことを認識しなければならない。日本の大卒の価値がそこまで続くようには思えないので、海外人材にポストを奪われないように日本人はもっと危機意識を持たねばならないと私は感じる。
2 会いたい人には会う
筆者はよくTwitter経由で知らない人から連絡をもらうらしい。それも、「今シンガポールに来ているのでお会いしてください」という内容で、大体同意して直接お会いされるようだ。その結果、その若者たちに少しでも人生を変えるきっかけになればと思っている、とのこと。
実際のところ、私もブログやFBを通じて、知らない人から連絡を頂くことが多い。そのほとんどが大学生や第二新卒の人たちであり、
「海外就職の方法を知りたい」
「ベトナムで働きたい」
「吉川さんの話を聞きたい」
といったオーダーが入る。
毎回無視することなく、すぐに返事し、Skypeで話すか、直接お会いするように心がけている。正直に話すと、私の話を聞いて満足して行動に移さない人や音信不通になる人がいるし、私が過激な発言をしてびびらしてしまったのも否めないのだが、、、
小林さんと同じく、私が話すことによって連絡を取ってこられた人に何かしらの影響を与えることができれば良いと感じている。
逆に、私自身が彼らと同じく会いたい人に会えるようにしなければと尻に火をつけられることになった。
大学生の時はいろんなイベントに足を運んで、会いたい人に会っていたので、いわゆる社会人となった今でもそれを継続していこうと思う。
早速だが、ホリエモンのオンラインサロンに申し込んだ。
3日本を飛び出した若者たち
本の最後あたりに日本で起業することなく、海外に飛び込み、海外で起業した人たちが何名もいると書かれていた。
その中には、ベトナムで大成功している4P’sの益子さんの描写があったり、それ以外の国でも活躍されている人たちが触れられていたりした。
超少子高齢化による日本国内マーケットのシュリンクを止めることはできないし、海外にマーケットを拡大していくことは不可避だ。
人より先に海外で、現地人向けのグローバルプロダクトを提供していくなんて勇気と行動力と人並み以上の努力が必要。もちろん自分には直接的な経験がないけれども、また海外で働きたいと素直に感じた。
その際は海外の日系企業向けではなく、現地マーケットを狙いにいくビジネスをやっていきたい。そっちの方がロマンがあるから。
以上3つだが、もちろん他にも気付きはあった。是非読者のみなさまも海外に出る前に読んで頂きたい。
下記には詳しい情報を掲載。
【書籍概要】
◆タイトル:『海外に飛び出す前に知っておきたかったこと』
◆出版社:ディスカヴァー・トゥエンティワン
◆発売日:2016年5月14日
◆定価:1,728円(税込)
◆著者:小林 慎和
◆URL:http://goo.gl/GO24T0
◆目次:
第1章海外に出たらどういう相手と戦うことになるのか
第2章やっぱり気になる英語、活きた英語をどう身につけるか
第3章海外に飛び出す前に知っておきたかったワークスタイル
第4章海外に飛び出す前に知っておきたかった交渉の流儀
第5章サラリーマンを辞めて起業する前に知っておきたいこと
第6章世界から日本はどう見えているか
第7章だからこそ、海外に飛び出す
【著者プロフィール】
小林 慎和 (BBT大学経営学部准教授/Diixi Pte.Ltd CEO and Founder)
大阪大学基礎工学研究科博士課程卒業、 同大学在学中に摂南大学工学部非常勤講師を2年、工学博士取得後、野村総合研究所の経営コンサルティング部門に入社。9年間、主に情報通信業界の企業に対して経営コンサルティングサービスを提供。構造改革や新規事業立ち上げ支援や、中国、インドをはじめとするアジア諸国への展開支援を手がける。その後グリーにて海外展開、特にアジア展開の指揮を取り、2012年シンガポールにて起業。現在は、Diixi、Yourwifiを創業・経営し、また世界初となるイノベーションイベントthe CHAOS ASIAのエグゼクティブ・プロデューサーも務める。共著書に「BOP 超巨大市場をどう攻略するか」、「これから情報・通信市場で何が起こるのか」、「経営用語の基礎知識」などがある。