前回の記事の続きになります。前回のテーマは「日系企業の文化と働き方のどんなところが魅力的か」で、真面目一献な日本人の良いところと悪いところが浮き彫りになったかと思います。
今回のテーマは「年功序列、能力主義どちらをベトナムで採用したら社員のパフォーマンスが高まるか?」です。
ベトナム人にとっては非常に難しいテーマかと個人的には感じます。そもそも働いていなかったらわかりにくい気がしますが。笑
話の前提を合わせるために、「年功序列制」と「能力主義」の定義をそれぞれ下記にて記載致します。
年功序列制
「勤続年数や年齢によって,職場での地位や賃金が上がること」
能力主義
「企業の人事管理において,賃金昇進などの決定基準を個人の職務遂行能力におこうとする考え方。」
それぞれの制度に関して個人的な意見を記載致します。間違っていたら教えてください。笑
年功序列制は、22歳の時に新卒で入社し、その後40年間みんな働く前提で作り上げられた制度であり、既に給与がどのようにあがるのかが決められている、ある種平等ではあるが、古巣の使えない方々が溜まってしまうマイナス面があり。
結局、「長く居る」というだけで、偉くなり、給与も高くなる将来的な安定性のあるものです。
私はそのような環境だと発狂してしまいそうです。
だから海外に出て来たというのもあります。笑
一方、能力主義はそれぞれのポジションで何を基準にするのかが課題になりえます。単純に営業成績だけで測るのであれば、見かけの数字だけを上げるためにズルをする人ができてしまいます。過去に読んだ経営コンサルの本にもそのような社員は登場していました。
また営業以外の、例えばバックオフィスのように売り上げに直接的に貢献しないポジションにとっては基準が曖昧になります。
実際に討論してみたところ、ベトナム人にとっては年功序列は聞きなれない概念のようですが、すぐにどのような仕組みかを理解され、建設的な議論をすることができました。
その結果行き着いた答えは、「年功序列制と能力主義を組み合わせる」考え方を導入することでした。
年功序列で自動的に給与が右肩上がりにしておきながら、成績の良い方に対しては別途昇給させていくという至れり尽くせりな制度ということになります。
働いてみたらそれがどれほど難しい制度なのかはわかるかと思います。
そこで、一度年功序列制と能力主義と良し悪しを、マトリックスにしてみました。
年功序列制では、安定を手にすることはでき、何も考えていない人にとっては平等なシステムで、万年補欠のようなレベルであってもずっと居座ることもできますし、簡単に解雇することはできません。
その一方、能力の高い人からすると、「なんでこの人と同じ給与なの?」と文句が生まれ、優秀な人が外部に流出するリスクがあります。
また、能力主義は、いわゆる外資系企業を想像してもらえるとわかりやすいですが、Up or Outの世界で、「上に上がるか、退くか」が常に目の前に突きつけられます。あくまでイメージですが。その代わりに能力があれば給与を実力に見合った分だけ受け取ることができ、平等な世界が作り上げられます。そこの勤続年数や年齢、学歴などは一切関係ありません。競争社会で勝ち残りたいと心から思うのであればこの制度はピッタリでしょう。
この時点でどちらが良いかというのははっきり分かれて来ます。
さて、本題に振り返りたいのですが、「どちらのほうが従業員のパフォーマンスを向上できるか」であるため、ここにはあなたの好き嫌いは一切関係ありません。学生会議の時にも頻繁に起こりましたが、(もしかしたら日本人同士でも同じかもしれませんが)外国人と議論をすると議題をすっかり忘れてしまうこと。パフォーマンスを向上するのであれば、年功序列制に安住する使えない人たちを排除することが一つ。これは過激に見えるかもしれませんが、企業にとっての不良債権であり、下の方々が育たなくなります。長く居るだけで居座れるなんて、若者にとってメリット一切ありません。かといって、能力主義をバックオフィスに導入したところで何を基準にするのでしょうか。タイピングミスの数?書類提出のスピード?イマイチわかりませんよね。それより退職者を出してなんども新入りに教育をする時間とコストを出さない方が良いと考えます。
というところで、パフォーマンスを上げるために取るべき施策は下記のように考えました。
営業のような前線で数字を上げていく人に対しては能力主義で働いてもらい、バックオフィスの人たちに対しては安定的に働いてもらうために年功序列制を導入する。
それぞれのポジションの特性に応じた制度が完成です。
実際にこれがうまくいくかどうかはわかりませんが、そのような話が出て来たディスカッション会でした。
外国人とディスカッションするといろんな気づきがあるから楽しいですね。